動画サイトの流行や、企業がPR動画を作成する機会が増えたことなどから、翻訳会社に映像翻訳を依頼する需要が高まってきています。
今回は、動画・映像翻訳とはどのような仕事か解説していきます。

映像翻訳とは、その名の通りあらゆる映像作品を他言語へ対応させる仕事です。
日本の映画館で海外の映像作品を観賞する際、一般的に「字幕上映」と「吹き替え上映」のふたつが用意されていることからも、2種類に分けられることがわかります。
元の音声はそのままにして、台詞を他言語に変換し字幕を作成する「字幕翻訳」と、台詞を別のナレーションで上書きするため、その原稿を作成する「吹き替え翻訳」ですが、一般的に映像翻訳ではどちらにも対応可能であることが求められています。
従来は海外映画の日本ローカライズという印象が強かった作業ですが、コンテンツの多様化によって、近年は映画だけにとどまらず、さまざまなコンテンツに対応しています。

●映像翻訳で対応可能な分野の一例
・劇場公開映画
・地上波や衛星放送で放送される映画
・DVDなどのパッケージソフト
・ニュース映像
・企業や製品のPR動画
・観光案内の動画

二種類の映像翻訳

同じ映像を取り扱っていても、必要なスキルや作業内容はそれぞれ異なります。

・字幕翻訳の特徴とは

字幕翻訳とは「書き言葉」、つまり目で見て読む言葉を使いますが、そこで重要視されるのは「可読性」です。
映像を観る人は、描かれている状況を理解しながら、字幕の内容も理解する必要があります。
観賞者が字幕を見て、直感的に理解できるよう要約していく必要がありますが、同様に欠かせないのが文字数のバランスです。
日本語の字幕は、一般的に1行あたり30文字程度で行数は2行、つまり最大60文字程度まで表示できます。
60文字という段階で既に相当な制限ですが、すべてのカットで60文字の字幕が表示されると、観賞者は台詞を読むことだけでいっぱいになってしまいます。
そのために、会話のテンポや全体のバランスをみながら、適切な文字数内で、完璧な要約を行うのが字幕翻訳の仕事となります。

・吹き替え翻訳の特徴とは

吹き替え翻訳で使うのは「話し言葉」、つまり耳で聞く言葉です。
普段、私たちが日常生活で使う言葉と同じように、書き言葉と話し言葉では、言い回しや細かなニュアンスなどの意識するポイントが異なります。
そのために、字幕の内容をそのまま台詞に起こせばよい、というわけではないのです。
さらに、ここで重要視されるのは「いかに、映像と音声に齟齬がないか」という点です。
台詞を登場人物の口の動きや動作のタイミングに自然に合わせる必要があるので、時には長かったり、時にはとても短かったり、元の台詞と同じ尺に調整していくことが求められます。

映像翻訳と一般的な文書の翻訳の違いとは

一般的なテキストを扱う場合と映像翻訳の大きな違いは、校閲・校正の厳しさにあります。
出版物など、テキストでもある程度の校閲は必要なフローですが、映像の場合、放送における表現のルールがあります。
国によっても文化や歴史背景が異なるため、そのままのニュアンスで訳した場合に、自国においては差別用語などの放送禁止用語に触れるなどのおそれがあります。
そのため「正しいニュアンスで訳されているか」だけではなく「禁止されている表現がないか」「事実関係に間違いはないか」という部分の、徹底的な確認が不可欠なのです。

映像翻訳の役割は、他言語の映像の意味を正しく伝えること

今回は、動画・映像翻訳とは何か?を解説しました。
2種類それぞれの特徴や、文書の翻訳との違いはご理解いただけましたか?
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