IR(Investor Relations:インベスター・リレーションズ)とは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績、今後の展望などを広報するための活動を指し、企業の発展にはかかせないものです。近年では、コーポレートガバナンスに関する規則改正などを背景に、IR関連の文書や情報を、海外の株主や投資家に向けて公開する需要が高まり、翻訳をしたいという企業は年々増えています。IR活動に関連した文書やレポートなどの翻訳をすることにより、さらに多くの株主や投資家に企業の情報を届けることが可能となり、さまざまな機会を広げることにつながります。

今回は、IR分野の翻訳を行うことによって得られるメリットや料金相場、実際に依頼する際に押さえておきたいポイントなどをまとめました。ぜひ参考にして、IR分野の翻訳を検討してみてください。

IR翻訳の料金相場

IR翻訳の料金相場としては、日英翻訳で1文字あたり約28円、英日翻訳で1ワードあたり約31円です。料金設定は翻訳会社により異なりますので、こちらは参考としてください。また翻訳対象言語によっても、料金は変わってきます。

文書の種類/分野日英翻訳英日翻訳
コンピューターマニュアル22円31円
一般科学・工業技術23円31円
金融33円28円
医学関係33円39円
経営管理・財務・契約書33円28円

IR分野の翻訳のカギは、機密性と正確性

IR分野の種類としては、株主総会招集通知や株主総会議事録、決算短信や有価証券報告書などの法定開示文書、アニュアルレポート、ニュースレター、事業報告書などが挙げられます。いずれも株や金融、またインサイダーの情報に関連する、重要かつ特殊なもので、文書によってはウェブサイトなどで公開される場合もあります。IR分野では、その性質上深い専門知識を持っていないと翻訳できないため、難易度の高い分野と言えるでしょう。それに加えて情報を正確に伝えることは必須で、誤訳や不適切な翻訳は、確実に避けなければなりません。翻訳する際には、IRや金融に関する専門的な知識だけではなく、関連する世界情勢や経済、法律や企業統治に関する知識と理解に加え、翻訳力を併せ持っていることが最低条件となります。

こうしたことから、対応できる翻訳者の数は、かなり限られていると言えます。またIR分野はその内容の機密性から、セキュリティ面にも十分に配慮する必要があります。IR翻訳では、公開前の機密情報の保持に注意を払いつつ、正確かつ、着実に翻訳を進めていくことが重要です。

IR翻訳の依頼先を選ぶ際のポイント

では、実際に依頼する翻訳会社を選ぶときのポイントを見ていきましょう。

・IR翻訳できる言語の種類

IR分野の翻訳対象として多い言語は、主に英語・日本語・中国語です。ただし、言語の対応範囲は翻訳会社により大きく異なるため、一概には言えません。翻訳会社にはIR分野の対応可否と併せて、対応可能な言語を確認する必要があります。

なお、複数の言語に翻訳したい場合、あらかじめ多言語への対応を行っているかどうかを確認しておきます。できれば複数社に分けず、同じ翻訳会社に依頼することを検討しましょう。そうすることで、機密性の保持につながり、言語間での表現統一に役立ちます。

IRや金融分野に優れた翻訳者

IRや金融分野に優れた翻訳者の特徴としては、先にも挙げた通り、まずは分野に関しての深い知識があることです。具体的には、証券会社や金融機関、会計士、アナリストなどの経験や学習経験、知識、あるいは資格を持っており、かつ翻訳の実績を積んでいる翻訳者が適切です。

また、専門知識の有無だけでなく、常に情報を収集することが、IR翻訳では大切になります。企業情報や業界内容を適切にリサーチできる力はもちろんのこと、国内外の経済の動きに関する知識や情報を、常にアップデートし続ける根気強さも必要です。

IR分野の翻訳は、スピードと品質が肝心

IR翻訳で意識しておくべきなのが公開期日です。期日通りに情報を公開することは信用問題にも関わるので、納期は絶対に守る必要があります。とはいっても、IR分野においては、ぎりぎりになるまで情報が出そろわないことも多く、限られた時間内で翻訳を完成させなければならない場合もしばしばあるため、翻訳会社には情報を受け取ってから、スムーズに対応することが求められます。

以上の理由から、高品質を保ちながらも、スピーディーな対応をしてもらえる翻訳会社であることが重要となります。事前に作業フローや翻訳完成までにかかる日数、料金や納品形式などを確認しておきましょう。

公開前の機密情報の扱い方

IR分野においては、機密情報が確実に守られていることを重視すべきです。翻訳会社を選ぶ際、セキュリティについてどのような対策がなされているか、また機密情報はどのように扱っているかについての事前確認をし、必要に応じて秘密保持契約書を取り交わすことも検討しましょう。また、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格である、ISO/IEC2001の認証を取得し、遵守している翻訳会社を選ぶと安心です。

翻訳を活かしてIR活動をさらに広げる

IR活動を展開させるため、翻訳を活用するのは非常に良い策です。この記事のポイントを意識して、プロに依頼をし、高品質な翻訳を仕上げてもらいましょう。翻訳により、企業のIR活動が充実したものとなることを願っております。

plus connectionでは、あらゆる言語や分野に精通する翻訳者により、精度が高くスピーディーな翻訳が実現可能です。IR分野での翻訳をお考えの方は、ぜひplus connectionにご相談ください。