日本語能力試験、略してJLPT、日能試とも呼ばれるこの試験は、公益財団法人日本国際教育支援協会と独立行政法人国際交流基金が主催する、日本語を母語としない人の日本語能力を認定する語学検定試験です。

日本を含め世界95の国や地域で実施され、日本語非母語話者を対象とする日本語試験としては最も受験者の多い試験になります。原則として日本語を母語としない人であれば誰でも受験でき、日本国籍の有無は問いません。日本国内では日本国際教育支援協会が、日本国外では国際交流基金が現地の機関と共同で試験を実施しています。

2010年以降に実施の現行試験では、最上級のN1からN5まで5段階のレベルがあります。一部の受験地を除き、7月上旬と12月上旬の年2回の試験が実施されています。2019年は過去最高の年間のべ約117万人が受験し、全レベル合わせて約35%が合格しました。解答はほとんどが4択、一部が3択のマークシート方式で、問題文は実施する国に関わらず全て日本語で書かれています。なお、試験後に問題冊子を持ち帰る事は認められていません。

この試験を利用する背景として、以下の3つの目的が主に挙げられます。

・大学
日本語を母語としない人の場合、日本の国立大学への留学には、日本語能力試験N1を要求されます。これは、日本人がアメリカ留学に際して、TOEFLで高得点を獲得した証明を要求される場合があることと同じです。

・就労ビザ
出入国在留管理庁の高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度のポイント計算において、日本語能力試験N1を有する人または外国の大学において日本語を専攻した人には15点、日本語能力試験N2を有する人には10点がそれぞれ加算されます。この制度は、学歴、職歴、年収、研究実績等により合計70点以上を獲得し、高度外国人材に認定された人が出入国管理上の様々な優遇措置を得られる制度です。

・医療
外国において医科大学(医学部)を卒業した人、または医師免許を取得した人が、日本で医師国家試験、または医師国家試験予備試験の受験資格を得るための書類審査において、審査基準の1つである日本語能力として、日本の中学校および高等学校を卒業していない人は日本語能力試験N1の認定を受けていることが条件となっています。また、医師国家試験以外にも医療・保健に関する多くの国家試験で日本語能力試験N1が受験資格になっています。

では、N1〜N5までのレベルの認定の目安や受講内容はどのようになっているでしょうか。

レベル認定の目安試験科目と時間
N1幅広い場面で使われる日本語を理解することができる言語知識(文字・語彙・文法)・読解110分、聴解60分の計170分
N2日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる言語知識(文字・語彙・文法)・読解105分、聴解50分の計155分
N3日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる言語知識(文字・語彙)30分、言語知識(文法)・読解70分、聴解40分の計140分
N4基本的な日本語を理解することができる言語知識(文字・語彙)25分、言語知識(文法)・読解55分、聴解35分の計115分
N5基本的な日本語をある程度理解することができる言語知識(文字・語彙)20分、言語知識(文法)・読解40分、聴解30分の計90分

当然ながら学習に必要な語彙数も、N5で800、N2で6,000、N1で10,000と、レベルが上がるにつれて多くなり、学習に必要な時間も増えていきます。

最後に国別の受験者数をみてみましょう。2019年の国別海外受験者数は以下のようになっています。見ての通り、地理的に日本に近い国での受験者数が多い傾向となっています。

国・地域 受験者数(人)
中国
中国本土260,022
香港12,860
マカオ653
韓国80,005
ベトナム78,318
台湾77,357
ミャンマー52,604
インドネシア26,703
インド26,402
タイ25,590
フィリピン20,119
その他68,817
海外合計729,450
日本国内439,085
総計1,168,535

日本語能力試験について簡単に解説してきました。plus connectionの通訳者、翻訳者は、日本語能力試験のN1レベルの者が多く在籍しております。日本語の意図をしっかり汲み取った通訳、翻訳ができますので、安心してご相談いただければと思います。もちろん、豊富な知識、実績も持ち合わせておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。