ロシア語はインド・ヨーロッパ語族スラヴ語派の言語であり、旧ソ連のヨーロッパ部をヨーロッパに含めて考えればヨーロッパで最も話し手の多い言語です。ロシア連邦とヨーロッパ内のウクライナ、ベラルーシとバルト3国のほか、カザフスタンやウズベキスタンなどの“中央アジア”に加え、カスピ海と黒海の間にある“カフカース(=コーカサス)”といういずれも古い歴史を持つ2つの地域を含む広大な旧ソ連諸国でロシア語は日常語として話されており、国連公用語の一つでもあります。ロシア語圏は日本のすぐ北から始まり、東では英語圏であるアメリカ合衆国アラスカ州に接し、またはるか西方においてポーランド語圏やルーマニア語圏と接する一方、南では中国、北朝鮮、モンゴル、アフガニスタン、イラン、トルコといった実に様々な言語を話す国々と接しています。
今回は、ロシア語の特徴について紹介します。
ロシア語の文字について
ロシア語は「キリル文字」という、日本人に馴染みの深いラテン文字、いわゆるアルファベットとは違った独特の文字を使います。キリル文字は顔文字などで見たことがあるという人もいるでしょう。そのため、日本人がアラビア文字を覚えたり、欧米人が漢字を覚えるよりは、キリル文字を覚えること自体はそこまで難しくないかもしれません。
キリル文字(абдж)もアルファベット(abc)も、αβγωなどの数学や物理で使用されるギリシャ文字からきています。そのため、文字自体は異なりますが、見た目が近かったり同じであったりするものも多いです。例えば、キリル文字の1文字目はA, aで、発音も「ア」、2文字目はБ,бで、発音はアルファベットのbと同じ(ブ)です。中にはキリル文字独自の文字もあり、例えば顔文字でよく見るДдはアルファベットのD,dの音で読みます。шчжは、それぞれ「シュ、チ、ジュ」というような読みで、アルファベットの特定の文字の組み合わせで起こるような発音を一つのキリル文字が担っているものがあります。そのため、アルファベットの26文字よりもキリル文字は33文字と文字の数が多くなっています。
発音について
「ロシア語の発音は難しい」と言われることがあります。難しいと言われる2点を紹介します。
- 母音について
ロシア語の母音には「軟母音」と「硬母音」がそれぞれ5つずつあります。それによってその前の子音も軟音と硬音に変化したりします。この違いが微妙でなかなか理解するのが難しいです。その上、ロシア語独特の子音は、微妙に日本語とも他の西欧語とも音が違います。例えば、ш, жは、日本語のカタカナで書くとそれぞれ「シュ、ジュ」となるのですが、英語の sh, j, などとも違います。よく聴いたら違うということは分かるのですが、それを実際に発音しようとしてもなかなか難しいといわれています。 - アクセントについて
ロシア語のアクセントの発音方法自体は、その音を強く長めに発音します。ただ、ロシア語のアクセントの最大の特徴は、アクセントの位置が「動く」ということです。ロシア語の名詞・形容詞・動詞は、形が変化します。単語の形によって、アクセントの位置も変わるものも多いです。辞書に載っている形のアクセントを覚えてもそれでおしまいではなく、ロシア語の母音はアクセントの有無で発音が変わったりもするので、アクセント位置を間違うと、かなり違う音になってしまいます。
文法について
ロシア語は非常に「語変化が多い」言語で、西欧の主要言語では失われてしまった名詞の格変化も非常にしっかりと保っています。
- 名詞の性数と格変化
ロシア語には男性・女性・中性の名詞、3つの性があります。そして、一部の外来語を除き、ロシア語の名詞は人名や地名などの固有名詞を含めすべて格変化し、さらにその名詞と結びつく代名詞や形容詞も格変化します。格は全部で6つあり、それぞれ単数と複数で違う形をもっています。つまり、ロシア語の名詞は、6格×2の12の形を持っています。 - 動詞は形より用法
動詞の変化は、まずは現在時制の人称変化を覚え、過去形は人称ではなく性と数で変化します。動詞の変化自体はこの程度で、未来を表すときは、別の単語を活用させ、それに不定形を添えるだけです。これらの動詞の活用にはもちろん例外的に変化するものもあるので、それらは個別に覚える必要があります。しかし、ロシア語の動詞には2つの「体」というものがあり、これは「完了体」「不完了体」の違いです。それが完了しているのか、していないのかによって2つの「体」を使い分けるのがロシア語の特徴です。
今回はロシア語について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。日本語や他の言語にはないロシア語ならではの特徴が存在していることがわかりました。plus connectionには、ロシア語において専門的な知識を持った者が多数在籍しています。お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。