代表的な親日国として、台湾が挙げられることはすでにご存知の方も多いかと思いますが、それはなぜだと思われますか?
今回はそんな台湾について、歴史も交えてご紹介させていただきます。
・歴史的な背景からみる台湾と日本の関係
日清戦争の末、台湾は下関条約により日本へ割譲されました。その後、約50年間に渡り日本が台湾を統治することになります。日本は皇民化や同化政策を通じ、台湾人の習慣や言語や文化を日本人にできるだけ近づかせようとするなどして日本が主体的に統治した時代があります。しかし、それでも台湾人の日本に対する国民感情は親日的であり友好的です。これはなぜかというと1945年に遡ります。太平洋戦争において日本の無条件降伏によって台湾を中華民国に返還した際、台湾を接収した国民党軍の台湾人に対する搾取やその後に起きた228事件(国民党による台湾人に対する弾圧事件)が、逆に台湾人には紀律のある平和な日本統治時代を懐かしませることになっていったからです。こうした日本への憧憬が台湾全土の子供たちに引き継がれ、今日に至ります。
・台湾の宗教・言語・教育
台湾においては、宗教面に関してはほぼ道教と仏教を混ぜ合わせたような信仰が中核をなしていますが、昔と違い熱心に宗教に打ち込む若者は日本同様少ないように思えます。
言語は戦後母国語となった北京語(いわゆる中国語)が公用語として使われています。中国の方言である台湾の現地語(いわゆる台湾語)も一般的に使用されてはいますが、会議や教育はすべて中国語で行われています。学生の中には台湾語が苦手な子も多いようです。
教育面ですが、日本と同じく小学校が6年と中学と高校が各3年ですが、日本と異なるのはいずれも義務教育だという点です。また、高校卒業後は4年制大学に進学しますが、大学進学率は約93%と非常に高いことが特徴です。
・台湾人の国民性
台湾人は日本人と違い、必要以上に他人の目を気にしない傾向にあります。日本では「世間体が悪い」などをよく口にしますが、日本では他人の目を気にする文化があり、そのような側面が礼儀作法や敬語、謙譲語などの日本語自体にも表れています。そして他人と協調することや気遣い、他の人に合わせるなどといった行動が必要以上に求められ、他の人と大きく異なる行動は和を乱す行動とみられる傾向にあります。その一方で、台湾の礼儀作法や言語形態はもともとは必要以上に人目を気にするといった文化はありませんでした。しかし、50年以上も日本の教育を受けた歴史的背景があることや日本企業との盛んな交流、日本文化の浸透、日本語教育の発展などの影響もあって、台湾では特に国際間の交流などにおいて、他人の迷惑や文化的背景の違いを考慮して行動し過剰な主張を避けるなど、柔軟な性格を有しているように思えます。学習意欲が高く勤勉で真面目な台湾の国民性も、これを後押ししているのでしょう。
・台湾人の家族と会社の関係
日本では家族は家族、会社は会社と区別されているのが一般的であり、会社と家族間で交わりを持つことはあまりありませんが、台湾はそうではありません。たとえば、社内旅行や会社の会食、イベントなどに家族と同伴で参加することは珍しくなく、台湾は男性中心の社会ではあるものの女性の存在を軽視できない国民性が強く影響しているのではないかと考えられています。一般的に、台湾人は非常に家庭や奥さんを重んじており、夜帰るのが遅くなると逐一奥さんに報告する男性をよく見かけます。
日本との関わりを踏まえながら、親日国である台湾について紹介しました。歴史的な背景や台湾での日本語教育、国際関係を重んじた現代文化の発達により、日本と台湾の文化が入り混じって形成された台湾人の国民性は、日本人や日本の文化になじみやすいといえるでしょう。そういう見方で現地を訪れたらまた違った見え方ができて面白いかもしれませんね。