インド英語について

英語には、アメリカ英語とイギリス英語の2種類が存在するのはご存知でしょうか。
それぞれ独特なアクセントや発音を持ち、使用される地域も違います。
ちなみに、「日本語英語」というものも存在し、こちらは「ジャパングリッシュ」と呼ばれているそうです。
また、アメリカ英語とイギリス英語以外にも、インドで独自に使用されている「インド英語」と呼ばれる英語があるのはご存知でしょうか?
今回はそんなインド英語をご紹介していきたいと思います。

インド英語とは?

インド英語は、一般的にヒンドゥー・イングリッシュ、「Hinglish(ヒングリッシュ)」と呼ばれています。
インドの公用語、ヒンドゥー語のなまりがある英語なので、このような呼び方となっているようです。
インドにおいては憲法によって連邦公用語とされているインド英語ですが、アメリカ英語やイギリス英語を主体に学んできた私達日本人には、あまり馴染みのない発音や単語が多くでてくるのでかなり難解であると言われています。
しかしながらインド現地においては、大学や職場などではインド英語が使用されることが多いようです。
以下にてインド英語の特徴を具体的にご紹介します。

インド英語の特徴

「r」をしっかりと発音する

英語においては、「r」音は地域によっては舌の巻き具合によって発音の差が出ることが多いです。
一方でインド英語においては、「r」音は舌を強く巻いて、単語のどの位置にあってもしっかり「ル」と発音することが特徴的です。

【例】
Water(水)→「ウォータル」
Park(公園)→「パルク」
Paper(紙)→「ペーパル」
Air(空気)→「エアル」
Super Market→(スーパーマーケット)→「スーパルマーケット」

単語は綴りどおりにそのまま読む

英単語のスペルには「サイレントレター(黙字)」と呼ばれる発音しない文字が含まれていることがあります。
例えば、「know」の「k」を発音せずに「ノウ」と発音するというように、この場合は「k」がサイレントレターとなります。
また、「muscle」の「c」も発音せずに「マッスル」と読みます。
ところが、インド英語では、このサイレントレターもそのまま発音するのです。

【例】
Recipt(領収書)→「レシプト」
Wednesday(水曜日)→「ウェドネスデイ」
Bomb(爆弾)→「ボンブ」

「th」は日本語における「タ行/ダ行」で発音する

インド英語においては、「th」を「タ・チ・ツ・テ・ト」もしくは「ダ・ヂ・ヅ・デ・ド」で表現をします。
私達日本人でも「th」の発音は難しく、かなり手こずることが多いですが、インド英語においても少しアレンジがされています。

【例】 
Think(考える)→「ティンク」
Thirsty(喉が乾いている)→「タースティ」
Thank you(ありがとう)→「タンキュー」
That(あの)→「ダット」

「w」や「f」を濁音で発音する

インド英語では、「w」を「v」、「f」を「b」で発音する場合があります。
強い訛りがかかると多く見られる傾向にあります。
先程ご紹介した「Water」も訛ると発音は「ウォータル」から「ヴォータル」になります。

【例】 
Water(水)→「ヴォータル」
Foot(足)→「ブット」
Fire(火)→「ヴァイヤー」
Winter(冬)→「ヴィンター」

独特なスペルを持つ

インド英語には、ヒンディー語等のインドの諸言語からの借用語も多く、イギリスの古典文学に由来する古い単語を用いている場合もあります。(「shop」の代わりに「shoppe」を使用するなど。)
また、ネットやメールでのやり取りに際しては独特のスペルを使用することもあります。

【例】 
What→Wot
we→v
the→da

数字の単位の違い

インド英語には、英語とはまた違った独特の数字の単位が存在します。

【例】
英語:Thousand(1,000)→インド英語:Crore(クロール)
英語:Million(1,000万)→インド英語:Lakh(ラク)

文法の違い

インド英語はヒンディー語の影響から、現在進行形を非常に多用する傾向にあり、動詞の約7割が現在進行形で表現されます。
これは非常にややこしい文法ルールですよね。
時制においては、文脈や会話の雰囲気から判断することが求められます。

インド英語の歴史

インドでは、イギリスに植民地化された19世紀半ばからイギリス式の英語教育が学校で取り入れられました。
その後、インドがイギリスから独立する際には英語の使用を辞める動きが国民の中で高まりましたが、多言語国家のインドにおいて中立の立場を保持していた英語は公用語として存続し続けたのです。
インド英語はそういった背景からイギリス英語をベースとしていますが、その歴史の流れの中でヒンディー語などの語彙をどんどん導入し、影響され、現在のような独特なインド英語を形成していきました。


意外と奥深いインド英語ですが、古典的な要素を多く含み、その発音もかなり独特で特徴的な単語が多いため、アメリカ英語やイギリス英語のネイティブスピーカーでも聞き取りにくく、理解し難い場面が多いようです。
弊社では、英語の中でもかなり難易度が高いとされているインド英語にも対応可能な通訳者が在籍しておりますので、インド英語に関する通訳のお困り事があればぜひ一度ご相談ください。