英語は、世界中で話されている「世界の公用語」とも言える言語です。英語が話せるようになれば、世界中の多くの人たちと意思疎通を図ることが可能になります。
英語は、大きく「アメリカ英語」と「イギリス英語」に分けられます。留学しやすい国や選ぶべき講師も学ぶ英語によって変わってくるため、自分が学ぶべき英語の違いを知った上で最初に決めておくことが大切です。
では、「アメリカ英語」と「イギリス英語」は一体どんな違いがあるのか紹介します。
アメリカ英語について
1607年にイギリスはアメリカに植民地を建設しました。現在のヴァージニア州にあるこの地は、当時のイギリス王・ジェームズ1世の名に因み、ジェームズタウンと名付けられました。
またこれとは別に、アメリカを目指した当時イギリス本国で迫害を受けていた、ピューリタン(清教徒)たちがいました。ジェームズ1世は、イギリス国内で政治的、宗教的に抑圧を強めていました。そのため1620年にメイフラワー号に乗って清教徒を含む102人がアメリカへと渡り、当初彼らはジェームズタウンを目指しましたが、船が風で流されて現在のマサチューセッツ州に到着しました。彼らは、出発したイギリスの港町の名前をとり、上陸した土地をプリマスと名付けられました。
ジェームズタウンやプリマスをきっかけに、アメリカ東海岸にイギリス植民地が13繁栄していきます。これらの植民地はやがて、イギリス本国から押し付けられる政策に反発をおぼえるようになり、1776年7月4日、ついにイギリスからの独立を宣言します。これによって、北米大陸に英語が根付いていきました。
このような背景からアメリカ英語は生まれました。つまり、初期のアメリカ英語は、当時移り住んできたイギリスの人々が話していた英語でした。しかし、新しい環境のもとで、アメリカ英語は徐々に独自の変化を遂げていきます。例えば、新天地で出会ったネイティブアメリカンの人々の語彙や、既に北米に進出していたスペインやオランダの語彙が取り入れられてアメリカ英語が出来上がっていきました。
イギリス英語について
イギリスの植民によって英語がもたらされたアメリカやオーストラリア大陸と異なり、そのルーツの欧州の英語の歴史は大変古く、サクソン、アングル、ジュート人などのゲルマン民族によるブリテン諸島への移住が始まった449年頃と言われています。それ以前に先住民族がブリテン諸島で話していたのはケルト語でしたが、その後アングル人によって話されていた言語のエングリスク[Englisc(古代英語)]がまず南部に広がり、原住民達は北へ追いやられることになりました。
中世の英語が確立された1150年から1500年の間には、現在のフランス、ノルマンディ地方からの侵略がきっかけで、フランス語がブリテン諸島に持ち込まれました。その後およそ1万語に及ぶフランス語の単語が英語に混入されます。エングリスクはその後もブリテン諸島で広がりましたが、当時は低層階級で使われており、宮廷、行政、文化的なシーンでは、フランス語の影響を受けた英語が使われるようになりました。
初期近代英語の確立は15世紀に遡り、この時代の英語はシェイクスピアが用いた英語としても知られています。19世紀の産業革命により、新しい技術を記述、説明する単語が生まれて英語の語彙は増え続けてその技術と共に世界中へ広まって行きます。
18世紀以降教育機関で教えられて来た英語がその基礎となっており、現在イギリスで標準とされる英語は、Received Pronunciation(容認標準発音、以下「RP」)と呼ばれています。RPは、イギリスの国語辞書に広く反映され、外国人への英語教育における標準モデルとして用いられています。イギリス国内では、多数の異なるアクセント(訛り)がありますが、語学学校で留学生が学習するのはこのRPです。
アメリカ英語とイギリス英語の違い
アメリカ英語とイギリス英語には、大きく5つの違いがあると言えます。
- つづりの違い
- 発音の違い
- 単語の違い
- 文法の違い
- 話される国の違い
- つづりの違い
同じ単語でもアメリカ英語とイギリス英語では、つづりが違うものがあります。
まず、日本で学ぶアメリカ英語で語尾が「-er」のものはイギリス英語では「-re」と表記されるものがあります。(ex,日本語のセンター(中央)がCenter(アメリカ英語)→Centre(イギリス英語))
他にも、語尾の「-or」(米)が、「-our」(英)になるパターンや語尾の「-ze」(米)が、「-se」(英)になるパターンがあります。 - 発音の違い
アメリカ英語とイギリス英語では、発音に明確な差があります。日本の教育現場ではアメリカ英語で学びますが、ハッキリと発音するイギリス英語の方が日本語に近い部分があるので「イギリス英語の方がしっくり来る」という人もいるようです。
アメリカ英語とイギリス英語の発音の違いについて最も認知度が高いと言って良い「Can」です。アメリカ英語では「キャン」や「ケァン」ですが、イギリス英語では「カン」や「カァン」といった発音に近いです。ローマ字をそのまま読む日本人的な発想からはイギリス英語の発音の方がしっくりきやすいかもしれません。 - 単語の違い
アメリカ英語とイギリス英語では同じものを表す単語でも、別の表現を使うことがありますが、全く違う意味の単語を使うわけではなく、「表現の仕方が違う」というイメージをすれば、わかりやすいかもしれません。
日本語 | アメリカ英語 | イギリス英語 |
電話 | Phone/Call | Ring |
秋 | Fall | Autumn |
映画 | Movie | Film |
- 文法の違い
アメリカ英語とイギリス英語では、文法にも少しだけ違いがあります。アメリカ英語では過去形を、イギリス英語では現在完了形を好んで使う傾向にあります。
(米)I lost my wallet yesterday.
(英)I have lost my wallet.
どちらの例文も日本語に訳してしまえば「財布を失くしてしまった。」となります。しかし、現在完了形は「現在とのつながり」を暗示するので、「今も財布を失くしてしまって困っている。」と状態を示唆しています。過去形では、単に財布を失くした事実だけを示しているので、現在も失くしているのかはわからないという違いがあります。 - 話される国の違い
アメリカ英語は、アメリカ、カナダ、リベリアで第一言語として話され、またフィリピンでも第二言語として話されています。また、世界の公用語として学ぶ英語としては、日本、韓国、フィリピン、南米諸国、サウジアラビア、東南諸国がアメリカ英語をベースにした教科書が用いられています。
イギリス英語は、第一言語としてイギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドで話され、シンガポールでも公用語として話されます。また、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、インドなどの南アジアの国でもイギリス英語が話され、中国もイギリス英語をベースにした教科書が用いられています。さらに、ヨーロッパ各国でも学校で使われる教科書や教材はイギリス英語で書かれています。
このようにアメリカ英語よりも多くの国がイギリス英語を話したり学んだりしていることがわかります。これはイギリスがかつて植民地支配をしていた国々が、その名残(なごり)でイギリス英語をそのまま使っている場合が多いことが理由に挙げられます。
今回はアメリカ英語とイギリス英語の歴史や違いを紹介しましたがいかがでしたでしょうか。plus connectionは、アメリカ英語とイギリス英語の違いをよく理解した優秀な英語の通訳者翻訳者が在籍しています。お困りのことがございましたらまずはお気軽にお問い合わせください。