アメリカ留学をするには、入学資格として一定以上の英語スキルを持っていなければならない場合があります。そのためには、試験を受けてスキルを証明しなければなりませんが、その代表的な試験がTOEFLです。この試験の特徴と共に、日本で受験者の多い他の英語資格との違いをチェックしてみましょう。

TOEFLとは?

TOEFLとは、ETSという非営利教育団体が開発・実施している、英語能力をチェックするための試験です。1964年に始まって以降、3500万人以上が受験したという、まさに世界で最も活用されている試験のひとつです。日本でも2000年から始まっており、100万人以上の受験実績があります。この試験の特徴は、特に教育機関で必要とされる英語力を試すという点にありますので、高校や大学の授業でよく使われる、科学や数学、芸術や自然といった分野の単語や表現が出題されることが多いです。また日常会話においても、学校生活でよく使うような表現を出題する傾向にあります。

TOEFLは、問題を出すスタイルもかなり実践的で、たとえばTOEFLにおけるスピーキング・ライティングセクションでは「Integrated」という統合型問題があります。これは、リーディングやリスニングといったインプットをもとに、スピーキングまたはライティングという形でアウトプットをさせるという形式になっており、これはまさに学校生活や海外の授業で問われる能力と同じものです。さらに、海外で留学をした時にありがちな生活上のシーンを再現した問題もあり、かなり実用的な英語スキルが問われます。

こうしたことから、留学生を受け入れる学校が希望者の英語スキルを見るために判定基準としてTOEFLを使っていることが多いのも特徴です。また行政機関や民間企業も、英語を母国語としない人の採用基準として、TOEFLを用いるケースもあり、こうしたことから海外の英語圏で生活をしたいと考えているのであれば、TOEFL対策をし、一定以上のスコアを取っておくと、とても役に立つということが分かります。

TOEFLとTOEICの違いとは?

TOEFLと同じく高く評価され、多くの人が受験する英語試験としてTOEICというものがあります。これも世界共通の試験で、もしかすると日本ではTOEFLよりもTOEICの方が認知度が高いかもしれません。それでは、TOEFLとTOEICの具体的な違いについて見ていきましょう。

・テストの設計目的の違い

TOEICもTOEFLと同じように、単なる単語や文法についての基礎的なスキルを問うというよりも、実践的なコミュニケーション能力を問う試験ですが、TOEICは主に、ビジネスパーソンを対象とした試験という特徴があります。そのため、ビジネスシーンでよく使われる表現や単語が多い傾向があり、経済関係の言葉やビジネス関連の単語などを中心に学習する必要があります。一方TOEFLは留学生向けのテストですので、こうしたビジネスメインのTOEICとは、ジャンルが違うということが言えます。

・出題形式の違い

TOEFLは、4技能(リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング)が1セットとして行われる試験です。一方でTOEICは、2技能(リーディング・リスニングとスピーキング・ライティング)づつ受験することが可能な試験となり、日本の就職活動などによく使われるのはリーディング・リスニングの2技能のみのことが多く、スピーキング・ライティングは、まだまだ日本での認知度が低いと言えます。日本人が得意なリーディング・リスニングの2技能のみでも受験することが可能なので、日本人にとってより受験へのハードルが低いのは、TOEICの方と言えるかもしれません。

・受験者層の違い

こうしたことから、受験する人の層もTOEFLとTOEICでは異なります。TOEFLは海外留学をする際、スコアが入学基準とされているケースが多く、海外大学に行きたい高校生や大学生、あるいはMBAに行きたい社会人層などが受験する傾向にありますが、一方でTOEICは、大学生が就活のためにスコアを取得したり、転職希望者や既に会社員として働いている人が仕事に役立てたり、もしくは、採用のチャンスを高めたりする目的で受験するケースが多いです。

・留学における活用の違い

TOEFLは、アカデミック向けの試験で世界共通です。そのため、ほとんどの英語圏の学校で英語スキル証明に利用されています。一方で、基本的にTOEICは留学における入学基準として認められていないケース(特に2技能のみの場合)が多いのが特徴です。一部のMBAなどではTOEICが入学基準として認められている場合がありますが、これは一般的ではありません。

・試験スタイルの違い

試験のスタイルは両者に違いが見られます。TOEICは一般的な学校入試と似ており、決められた時間にすべての受験生が一斉にスタートする方式を採っています。一方でTOEFLは、予約した会場と時間帯に行き、到着した順番にパソコンを使い受験していきます。

また、解答の仕方自体にも違いがあります。たとえばTOEFL IBTでは、コンピューターの画面に問題や指示が出されますので、スピーキングも含め、すべてはコンピューター上で行います。TOEICは、マークシート方式となっており、問題も紙で配られ、解答用紙に解答をマークしていくスタイルです。

TOEFLと英検の違いとは?

日本における英語関連の試験としては「英検」も非常に有名です。小学生から高校生が受験することも多く、日本人にとってはなじみが深い試験でもあります。ここでは、TOEFLと英検との違いについて説明します。

・知名度の違い

英検とTOEFLの違いのひとつとしては、知名度の点が挙げられます。英検は、あくまでも日本人向けの試験ですので、1級を取った場合、日本ではとても英語力の高い人という評価を受けられますが、海外では評価されないケースがほとんどです。一方のTOEFLは、英検に比べてまだまだ日本での知名度が低いため、日本の中ではTOEFLで高スコアを取るよりも「英検1級を持っている」という方が英語力の証明につながるかもしれません。

・留学における活用の違い

前述のとおり、TOEFLはアカデミック向けの試験で世界共通ですので、ほとんどの学校で英語スキル証明に利用されていますが、英検は海外の短期大学(コミュニティカレッジ)の場合、入学基準として認められるケースもありますが、海外4年制大学や、トップスクールでは残念ながら認められないことがほとんどです。ましてやMBA留学で英検が認められているケースは、ほぼありません。

・試験スタイルの違い

TOEFL IBTでは前述のとおり、全てコンピューターで試験が実施され、試験も到着順で実施されますが、英検はTOEICと同様に、1次試験は一斉スタートで紙面のテストで実施されます。また、英検は1次試験に合格した人のみ2次試験に進み、スピーキング試験として面接を受けるという形になります。対人でスピーキングを行うことに抵抗感がある方は、もしかしたらハードルが高いと感じるかもしれません。最近では英検S-CBTという、TOEFLと同様にコンピューターに話しかける形式のテストも実施されているようです。

・レベル別か、スコアかの違い

TOEFLは、取得したスコアにより英語力レベルを測ります。しかし英検は、1級から5級まで7つのレベルに分かれており、自分のレベルに合った級を選択して受験することが可能です。そのため英語の上達のために、徐々に級を上げていくことでモチベーションを高められるというメリットがある一方、落ちてしまったら「不合格」のステータスになるのみで、スコアが残るというわけではないため、自分の実力に満たない級を選んでしまうと、何度か受験しなおさなければならない、というデメリットもあります。

これまで説明してきたように、同じ英語スキルを見る試験であっても、それぞれに違う目的や形式があります。大切なのは、自分がどのような分野の英語を身につけたいのか、もしくは自分のスキルをどのような場面で活かしたいのかを考え、それぞれの特徴に合わせて試験を選択することです。

TOEFLは、受験のハードルや難易度も高い試験ですが、それを乗り越えて高スコアを取得しておけば、きっと留学後の勉強や生活が楽しくなるはずです。

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