インドで話されている言語とは?

10億人超の人口を抱えるインドは、一体どのような言語が話されているかご存知でしょうか?実は、インドでは多種多様の言語が話されている多言語国家で、同じインド人でも顔つき、肌の色、言語も各地域によって異なります。また、主要な言語だけでも15〜20種ほどあり、インドで使われている主要言語はインドのお札の裏面に印刷されています。

さて、今回はインドで話されている主要言語の3言語について紹介します。

ヒンディー語

ヒンディー語はインドの連邦公用語として規定された言語です。インドの人口の約4割が母語として話しています。インドは20以上の州に分けられており、ヒンディー語が公用語とされている州は北部に多いため、ヒンディー語は北部を中心に話されています。インド全体では多くの言語が話されていますが、その方言を加えると数えきれないほどの言語があると言われています。とはいえ、ヒンディー語を母語としなくても話せる人は多く、ヒンディー語を理解することはインドを知るために最も重要な言語と言えます。

インド・ヨーロッパ語族に属しているヒンディー語は、かつてインドに移住してきたアーリア人が持ち込んだサンスクリット語を基にしています。このため、英語などのヨーロッパの言語、イランのペルシア語とも近い関係のようです。

ヒンディー語の文字はデーヴァナーガリー文字で書かれています。アルファベットとは異なり、「シローレーカー」という横線の上下にいろいろな記号がついた文字です。この文字はサンスクリット語やネパール語の表記にも使用されています。表記と発音が対応していて文字の読み方を覚えれば、初めて見る単語でもほぼ正確に発音できるようになると言われています。

母音の配列は日本語の50音と同じ「アイウエオ」で、長母音と短母音があります。子音も日本語の配列「カサタナハマヤラワ」とほぼ同じですが、無声音と有声音、無気音と有気音、さらに鼻子音と細かく分けられます。例えば、日本語の子音「カ」にあたる子音は、無声無気音、無声有気音、有声無気音、有声有気音、鼻子音の発音があります。

日本語と同様にヒンディー語の文字は、左から右に読みます。基本的にシローレーカーでつながった文字が1つの単語で、文章の最後に来る縦線が文章の区切り、つまり日本語の句読点を示しています。日本語の語順とも似ているので、この点では日本人にとって比較的馴染みやすいと言われています。

ベンガル語

ベンガル語は、インド亜大陸の東側のベンガル湾に面した地域で長期に渡って育まれた言語です。ベンガル地域は古くから豊かな文芸文化を誇っています。また、この地域はその東側にイスラーム教徒が、西側にヒンドゥー教徒が多く暮らすなどの多様な文化的背景を持っています。その奥行きや広がりを持ちながら、国家や宗教の枠組みを超えた一つのベンガル文化を形成する核となっているのがベンガル語という言語です。現在この言語は2億5千万人を上回る人々にバングラデシュの国語として、インドの西ベンガル州の公用語として、そして世界中に暮らすベンガル人の言語として使われています。

ベンガル語で使⽤されるベンガル⽂字は、インド系⽂字のひとつでヒンディー語を表すデーヴァナーガリー⽂字などと同系ですが、個々の⽂字の形はベンガル語特有のものです。ベンガル⽂字も左から右に書かれ、英語のように単語ごとに分けて書かれますが、⼤⽂字や⼩⽂字の区別はありません。また、ベンガル⽂字は、⼦⾳字・⺟⾳字・⺟⾳記号・その他の記号・数字に分類され、合計93⽂字であります。英語などと⽐べてもそれほど多くはありません。93文字の分類は、代表的な⼦⾳字が38⽂字、代表的な⺟⾳字が14⽂字、代表的な⺟⾳記号が13⽂字、その他の記号が18⽂字、数字が10 ⽂字です。この93文字が結合した約830⽂字を実際にベンガル語の⽂章を表⽰するためには必要となります。

ウルドゥー語

ウルドゥー語は、インドの主要言語の一つです。パキスタンの国語でもあります。文字はアラビア文字を用い、インド・ヨーロッパ語族に属する現代のアーリア諸語の一つです。ウルドゥー語の起源は、インドのデリー周辺で話されていたカリーポリー方言で、ヒンディー語の起源もこのカリーポリー方言だと言われています。このカリーポリー方言に、ペルシャ語やアラビア語の語彙が借用されてアラビア文字で表記するようになったのがウルドゥー語です。

イギリスの植民地だったインドは1947年に、イスラム教徒の多いパキスタンとヒンドゥー教徒の多いインドに分かれて独立しました。その時に、ウルドゥー語がパキスタンの国語になったもののインドに残ったイスラム教徒も公用語としてウルドゥー語を現在でも使い続けています。

ウルドゥー語の文字には、アラビア文字28文字、ペルシャ文字4文字、そしてヒンディー語系の発音を表わす文字3文字を加えて全35文字からなります。そして、ウルドゥー語はアラビア語と同じように右から左に書かれます。また、同じ起源を持つウルドゥー語とヒンディー語は、文字は全く異なるにもかかわらず、文法や語彙が同系なので、会話であれば意思疎通を測る事ができます。右から左に書くウルドゥー語、左から右に書くヒンディー語で会話が成り立つとは驚きです。そして、ウルドゥー語には、ペルシャ語やアラビア語から借用された語彙が多くあるので、ウルドゥー語を学ぶと自然とそれらの言葉も身に付きます。ウルドゥー語は、ヒンディー語、ペルシャ語、アラビア語にも通じるものがあるのです。

今回はインドで話されている代表的な3言語を取り上げましたが、いかがでしたでしょうか?
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