フランス以外の国でフランス語を公用語としている国

フランス語は、フランス以外に公用語として話している国が29カ国存在すると言われています。また、公用語ではなくとも、第二言語として話している国も存在します。
今回は、フランス語を公用語として採用している国、あるいはしていた国を紹介します。

カナダ

カナダでは英語による会話が主ですが、フランス語も一部の地域では盛んに使われています。カナダでは古くからイギリス(英語圏)とフランス(仏語圏)からの移民を多く受け入れているため2つの言語を使用している背景があります。カナダでは多様性を重視しているので、双方に配慮した結果、フランス語を第二の公用語として承認しました。国民は幼い頃から英語もフランス語も学び、多方面でフランス語を使用しています。

カナダ国内で最もフランス語との関わりが強い地域はケベック州です。ケベック州最大の都市であるモントリオールでは多くの市民がフランス語を使用しています。
17世紀の初頭、フランスはカナダを植民地とするために当初はカナダ南東部のセントローレンス湾に降り立ち開拓を進め、次第にフランスはカナダ国内の植民地を拡大していきます。ケベック州は開拓の中心地となり、フランスから多くの市民が訪れたため、フランス市民だけによる街が至る場所に形成されました。こうした歴史的背景により、ケベック州を含むカナダ国内では今もフランス語が積極的に使われています。現在ケベック州ではフランス語を公用語としています。

ベルギー

ベルギーは、国境を共有するフランス、オランダ、ドイツに支配されてきたことに由来して公用語が3つあります。フランス語を含め三つの公用語(オランダ語(フラマン語)、ドイツ語)があり、言語境界線が公式に設定されています。現在では、標識などはフランス語とオランダ語で書かれており、商品表示は最低2ヶ国語で書かれています。この多国語文化は、ベルギーでしか味わえないものの一つです。

1830年に独立を果たしたベルギーは、19世紀にはフランス語が権威ある国際語、文明語であるとみなされており、公用語もフランス語のみでした。しかし、20世紀に入ると、オランダ語の地位向上が図られ、徐々に公的な場でのオランダ語使用が制度上認められていったようです。

スイス

スイスはフランス、ドイツ、イタリアと国境を接する多言語・混成民族の国家です。国の成り立ちも圧制や外敵から身を守るため、異なる共同体が自治を求めて同盟を結んだことに端を発するスイスは4つの公用語が使われている国です。ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語で、九州ほどの面積に4つの言語が共存し、車で2時間も走れば外国語のエリアに入り込んでしまうようです。

スイスでは道路標識、国内で販売されている商品はみな複数の公用語で表記されています。ちなみに、特急電車の車内放送は一人の車掌がドイツ語、フランス語、英語でしゃべるのは当たり前のようです。

また、スイスの議会でも、ドイツ語、フランス語、イタリア語、さまざまな言語が飛び交い、その橋渡し役となるのが同時通訳者たちです。連邦内閣の会見では、ある記者との質疑応答はフランス語、別の記者との質疑応答はドイツ語という場面は何ら珍しくなく、閣僚たちは記者の言語に応じて、数カ国語を使い分けているようです。

ハイチ

ハイチは、1987年まで中南米地域においては唯一のフランス語公用語国でした。歴史的過程でアフリカ系の言語にハイチの元々の住民の言語、フランス語、スペイン語、そして英語も単語ベースで入ってくるなどによって(ハイチ)クレオール語の形が作られてきました。そのため、ハイチのほとんどの人が日常語としてクレオール語(Créole(仏)、kreyòl(クレオール))を話し、今ではクレオール語が公用語になりました。

それまでの公用語はフランス語のみでした。中南米地域においては唯一のフランス語公用語国でしたので、スペイン語や英語が主流の中南米地域においてやや肩身の狭い思いをしている面もあります。例えば、英語が「カリブ共同体(CARICOM)」ではメインですが、後発で2002年に加盟したハイチは、フランス語も公用語に加えるべく働きかけを行っています。しかし、2013年の元マルテリー大統領時代には、フランス語を公用語とすることについての「決議」まではこぎ着けましたが、これを実際に公用語として採択するには至りませんでした。

フランス語を公用語としている国を紹介しましたが、いかがでしょうか。
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